☆狂雅(旧名:綺雅)
彼がまだ綺雅だったころ、雪が降り積もる中近くの広場に遊びに行こうとした兄妹は、
広場の入口前にある、階段を降りる途中、妹の曖楽が兄である綺雅に話しかけようとした瞬間、
足を滑らせ、後頭部から転落し、首が外れてしまいました。
皮肉にも、それは綺雅の誕生日、クリスマスに起こった出来事でした。
それ以来、ショックのあまり、幻覚や被害妄想が始まり
曖楽が居ない寂しさと母親が孤独死した屈辱で気が狂ってしまい、性格をガラリと変え、
妹の目をイメージして作った義眼を自分の目と入れ替え、化粧をし、
「妹の事で触れてくる奴は死ねばいい」という思いで、次々と殺し、有名な殺人鬼となった。
色んな人を惑わせて、狂わせる。
気に入った者はバラバラにされ、保存している。
曖楽は兄が「殺人鬼」なのは知らない。しかしオネエになって女と遊んでる事は知っている。
曖楽の前では、カッコイイお兄ちゃんの姿。
女の前では、お世辞上手のオネエさんの姿。
曖楽の墓場に来ては一言。
「…曖楽、殺人鬼って知ってるか?」
今日もまた、服を変えて、大鎌を持って、
気に入らない、汚れた者を殺している。
☆曖楽
兄妹の母親は病気を背負い、寝たきりのまま、誰も居ない部屋で孤独死しました。
今年も兄の誕生日を祝う為、サプライズを計画していました。
兄にバレないように、外で遊ぶ事に。
学校の事、友達の事、好きな人が居るのか、滅多に2人の時間が持てない兄とたくさん話しました。
階段を降りてる途中、曖楽は兄に伝えたい事を思い出し、後ろを振り返った瞬間、
足を滑らし遠ざかってく兄を最期に亡くなりました。
兄に抱えられ、白いワイシャツが血に染まり絶望する兄の姿をただ見ることしかできない幽霊の自分。
母の時もそうでした。燃えて消えてく母を後ろで涙をこらえて見届ける自分。
「私は、大切な人の傍に居てあげられない」そんな自分が嫌になっていました。
もっとちゃんと見てれば、母の死を避ける事が出来たかもしれない。
もっとちゃんとしてれば、兄とたくさんの事を話せたかもしれない。
曖楽は幽霊として兄の傍に居続ける事が出来るようになりました。
例え、兄に見えなくてもいい、自分が傍に居られれば良い。
そんな思いを抱き、今日も兄が家から出る姿を見つめて一言。
「今日もだいすきだよ。いってらっしゃい。」
☆Liar
Liarがドッペルゲンガーと気付く前の話
彼には気になる人が居た。
名前はLapis(ラピス)
それは所々自分にそっくりな人間。
「話してみたい」 「もっと近くで感じたい」
そう思っていた、数ヶ月後
Lapisがいつも通る道のベンチに座ってると、Lapisが急に倒れて跡形もなく姿が消えてしまった。
―自分のドッペルゲンガーと会うと死ぬ―
その日、自分が「ドッペルゲンガー」だと分かってから彼は変わってしまった。
色んな人に嘘を吐いて騙してはケタケタ笑い、楽しんでいた。
何年の月日が経った時、いつものように散歩していると、とある少年を見つけた。その少年は美しく、妹思いの優しい人間だった。
少年…綺雅(狂雅)に一目惚れをしたLiarは
彼にまとわりつき、自分のモノにしようと日々企んでいる。