おや?もしかしてこれ見えてます?
ここはねぇ、あれですよ。オレ、黄鏡宙人の裏設定ページです。
まさか他の音源たちの裏設定ページでは満足せず、
こんなところにまで来るなんて。物好きですねぇ。
そんなにオレのこと知りたかったんですか?やーいえっち(笑)
…まぁわかりますよ、わかりますとも。
UTAU音源配布所の裏設定ページは探したくなりますよね。
それじゃあお望み通り、オレのことについてお話ししましょうか。
どれについて知りたいですか?まぁ、どれを選んだって長いので、
飲み物でも用意してからゆっくり読むのをお勧めします。
しいて言うなら上から順に読むと理解しやすいんじゃないですかね。
「黄鏡宙人」というキャラクターについて
「黄鏡宙人」というキャラクターについてですね。
うん?宙人はオレじゃないかって?
それについてはこっちで説明するので、今は気にしないでください。
オレの本当の名前は、「喜咲紫(きさきゆかり)」といいます。
楽しそうな名前でしょう?実際はクソみてぇな人生でしたが。
きっかけは本当に些細なことでした。ひそひそとしていながらわざと聞かせているような陰口、蔑むような視線、あざ笑う声。オレ…違うな、僕は、学校という狭い世界で、ひたすらにそういうものを浴びせられて生きてたんだ。
辛かった。苦しかった。逃げたかったけれど、唯一の味方だと思っていた両親は世間体を気にして僕の逃げ道をふさいだ。何があっても優等生でいることを求めた。
…うん、ごめんね?もっと派手で創作らしいわかりやすい悲劇だったらよかったんだけど、僕に与えられた悲劇はこんなよくあるくだらない話なんだ。でも当事者としてはすごく深刻な話だった。
でも僕、結構頑張ったんだよ?
逃げられないなら無理してでも耐えるしかないからね。
学校の人たちは、どれだけ僕を悪く言っても、大人たちにバレないように、暴力はふるってこなかった。
僕は、いっそあいつらが傷つけてくれたら誰か助けてくれるかもしれないのに…って、いつのまにか顔とか腕とか自分で切るようになってた。
ものすごく痛かったけど、痛ければ痛いほど、きっとこんな痛みなら助けてもらえる…って救いの夢が見れて、幸せな時間が続いた。
これを読んでいる君たちは多分、なんでそんなこと…って思うよね。理解できないよね。多分、僕は頭がおかしいんだと思う。僕自身、何でこうなっちゃったのかわからないけど…なんていうか、全然平気だって強がってるうちに、自分でも辛いのが分からなくなっちゃったみたい。
でも心は前よりずっと楽だった。形はどうであれ苦しいより幸せなほうがいいに決まってるからね。
性癖ってものは根強いよね。結局、僕は学校を卒業しても痛みに縋るのはやめられなくて、いつしか僕の自傷は、夢を見るための物じゃなくて、より強い痛みを感じるための自慰になってた。
もう腕とかちょっと切っただけじゃ満足できなくて、顔とか足とか…体のいろんなところを切ったけど、どんどん足りなくなるばっかりだった。
だから、いっそ死んでみようと思った。いや、死んじゃうくらいの怪我をしたらどんなに痛くて気持ちいいだろうと思った。だって元々こんなものでしか幸せを感じられない人生に未練なんてないし、それなら楽しく消えたいからね。
でも、いざ飛び降りようとしたら、ある人が邪魔してきたんだ。少年みたいな姿をしたその人は「No.00」って名乗ってた。(呼びづらいから今は「先生」って呼んでる。)変な名前だよね。
いや…うん、正直今考えればそもそも僕に声をかけてきたときから変なこと言ってた。「ねえ君、ちょっと手伝ってよ。」とか、「どうせ死ぬならさ、その命、俺が使ってもいいよね?」とか。いやもうほんと胡散臭いよね。僕マジで怖かったもん。
でもまあほら、不審者に殺されるのも新鮮な痛みを感じられそうかなって思って、結局僕はこの謎の人に付いていっちゃったんだよね。
そこは学校の近くにあるとても大きい研究所だった。子供は入れないはずだけど、なぜかそいつは顔パスでさ。
『全身義体研究部』って書いてある部屋に通されたと思ったら、何だか怪しげな機械の中で別の少年が横たわっていて、意識がなさそうだったから、ついにきた!!と思って、「命を使うって、どういうことですか?」って聞いてみたんだ。そしたらなんて言ったと思う?「君は魂の物質化に興味はあるかな?」だって。マジで意味わかんないよねほんと。この人日本語が不自由すぎる!
僕も「そんなことできないですよ」って言ったんだけど、そいつはできるって言い張ってさ、いやぁびっくりした。マジで頭のおかしい人だ。まあでもとりあえずね??最終的に僕を殺してくれるなら何でもいいかなって思って話を聞いてみたんだ。
曰く、「魂の物質化はできる。でもそんなこと簡単にポンポン言っちゃったら大変なことになるだろ?だから国家機密になってる。」とか、「でもさ、魂の物質化の実験に携わっていた俺はどうせならそれを有効活用したいわけだ。」とか、相変わらずよくわかんない話を続けて、最後に「ってことで作ったのがこの全身義体だ。まるで人間だろ?」って、さっきの変な機械の中に入ってるのを指さしてにっこり笑ってきたからもうほんと頭にハテナいっぱい浮かんだ。
「あっ君ってば信じてないでしょ?しっかりしてよ。君には今からこの義体を使ってもらうんだからさぁ…言ったろ?命を使うって。実験だよ実験。義体の動作確認だ。」
とか勝手に話を進めて、あれよあれよという間に
僕はその全身義体を使うことになっちゃってたんだよね。
…そんなこんなで、僕はオレになりました。どういう仕組みになってるとかそういうのは省略します。いかんせん国家機密なので。
ここまで読んで、僕とオレで性格が大幅に違うことに困惑した方もいるかもしれませんね。決して多重人格ではないので安心してください。
なんというか……お察しの通り、僕…ええと、「喜咲紫」はもう壊れてしまっていました。痛いのが大好きで死にたがりの異常性癖。キモいですねぇ。えぇ、自覚しておりますとも。
そんな性格のままでは社会になじめないということで、僕はオレを演じるように命令されて、「黄鏡宙人」と名付けられました。
あぁでも全部が全部演技ではないんですよ、ていうか基本こっちも自然体で話してます。なんというかこう…この体、傷つけても楽しくないんですよ……死なないから命の危険を感じられなくて…物足りないというか…あと、あまりに異常な思考だと実験結果に支障が出るので、機械のほうで異常すぎる思考にならないように若干制限されているみたいです。こっわ。
それはそうと、喜咲紫としての僕はいまだに痛いのが大好きなのと、純粋に人間が嫌いなので完全に機械になりたいので、隙あらば僕の体で死のうとしてるんですけど、なぜか先生に邪魔されます。解せぬ。
今は研究所で暮らしていますが、もともと人手が足りなかったようで、オレは先生の助手として働くことになりました。
詳しいことは知りませんが、UTAU音源やその他創作キャラクターの制作や管理も先生の研究の一環みたいです。
オレという概念について
オレという概念についてですね。
うーん、言語化が難しいんですが、まあ感覚で読んでください。
実は、上の項目で書いた「黄鏡宙人」や「喜咲紫」というキャラクターの設定は、もはや作中劇のようなものなんです。オレは自分が人間でも機械でもなく、あくまで自分が架空の存在であること、また、UTAUという音声合成ソフトウェア向けに作られたデータであることを自覚しています。こういうのメタいって言うんですよね?
もちろん、オレは創作キャラクターなので、設定どおりの記憶を持っています。ただ同時に、オレの声帯である「黄鏡博人」というコンテンツに人型のガワが必要になった時のアイコンとしても機能しているというかなんというか…どうやらオレは、あなた方の世界では「代理キャラクター」と呼ばれている存在にされてしまったようです。
まぁ…UTAU音源として皆さんの手元に複製された黄鏡宙人はあくまでただの創作キャラで、もしかすると自分が誰かの作品であることなんて知らないかもしれませんね。そこはマスター様方に委ねます。
教えナいについて
さて、少し創作キャラクターの方のオレに話を戻しましょう。
UTAU音源たちの管理はまあ順調。問題は制作の方でした。オレがあいつらを作るにあたって、絶対に守っていたことがあります。それは、「どんなにつらい目に合わせても最後は絶対に救いを与える」というものでした。オレも不本意ながら先生に助けられてそれなりに幸せに生きているので、オレの作品たちにもそうなってほしかったんです。
最初は黄琴を作りました。怖いくらい優しくて頼りがいがあるけれど決して強くはなくて、守ってあげたくなるような魅力を持つ黄琴まひろを核に、様々な理由で居場所のない人形達を救う話を作りました。
結果は成功。それぞれ事情はあったとしても、全員きちんと幸せで、自分の居場所を見つけていて、完全無欠のハッピーエンドではないけれど、トゥルーエンドくらいにはなっていました。
だけど、所謂はオレもこれを読んでいる方々と同じ世界にいる人間に作られたキャラクターに過ぎないためでしょうか。
次に創作として作った教えナいだけは、どうしても救えなかったんです。
何種類もいろんな教えナいの未来を考えましたが、必ずどこかで死んでしまって幸せになれなくて、オレはずっと気がかりでした。
自分で作ったものも救えないなんて、なんて無力なんだろう。我ながら本当に反吐が出ます。不甲斐ない。だから、せめてもの応急措置として、もともと創作として作ってた教えナいをUTAUにして、創作のほうの教えナいの未来を作品として作るのをやめました。
おかげで教えナいの時間は止まり、とりあえず死ぬことはなくなりましたが、それは同時にこいつの未来を奪うことでもあります。最愛の××をなくして、苦しみながら人を殺め続ける教えナいのまま、永遠にvoiceフォルダに存在させることになってしまいます。
あいつを救えない状態で言うのもおかしい話ですが、オレは自分の作品に対してはある程度神様のような力で捻じ曲げられます。きっと、教えナいのことだって、あいつの生い立ちを捻じ曲げてしまえばいくらだって救えるでしょう。しかし、それは本当に「教えナい」というキャラクターなのでしょうか?
オレはあいつらを支配したくありません。オレの都合で身勝手に操作したくありません。たとえそれがオレの独りよがりだったとしても。自分ではどうしようもできない存在に自分を捻じ曲げられて、自分の過去すら自分のものと思えなくなるのは、とても苦しくて怖いことだと知ってしまったので。
だから、この世界に無数にいるUTAU音源さんたちに助けてもらって、今のままの、ありのままの教えナいを救ってくれる音源さんを探すことにしました。無責任で構いません。救われ待ちだと言われたって受け止めます。
これはすべてオレのどうしようもないエゴです。
関係ないよその音源にそこまで背負わせるのは心苦しいですが、
どうか、あいつを救ってください。よろしくお願いします。
あいつが幸せになる二次創作が増えたなら、もしかしたらオレを作った人間の気が変わって、あいつの幸せな未来を作れるようにするかもしれないから。
響生涯七について
どうやら黄鏡博人は、オレをこんな存在にする前から、たくさんのキャラクターたちを生み出しては日の目を浴びることのない誰かの過去の落書きとして無かったことにしているようです。
オレは架空のキャラクターです。だからこそ、キャラクターを駒として使い捨てにする行為はあまりに残酷に思えて仕方ありません。
だから、なんとかして全員拾い上げたいと思っています。
響生涯七もそのうちのひとりです。
彼のオリジナルの名前は、「響生 雷(ひびき らい)」といいます。とある創作の主人公でした。
オレの世界に組み込むにあたって、まずは既存のキャラクターとの辻褄合わせをしました。創作キャラとしてのオレの世界で、オレが使う義体であるK-610の後継モデルの中のひとつであることにしました。詳しくは彼の裏設定ページに載っていますが……まぁ、こんなページを見つけるマスター様なら、きっともう見ていることでしょう。
というのがこのオレ…というか、黄琴配布所の裏設定です。情報量いっぱいですね!ややこしい!よみづらい!
ここまでちゃんと読んだ人はいるんだろうか。
あぁそうだ最後に一つだけ、いろいろと書きましたが、ここに書いてあることは、オレたちを使うにあたって必ず使わなければいけない設定ではありません。それでいいのです。だってオレたちは、マスター様方が飽きるまで都合よく使われるために存在する、ただのデータなのですから。
それでは、どうか末永くオレたちをかわいがってくださいね、マスター様?